【今回の経理のツボ】
今週の経理のツボは、中国進出のリスクについて、考えてみたいと思います。
中国の富裕層が膨らみ、テレビ各局でも、中国人が、高級車やテレビなど
家電品の他、化粧品等のブランドの品等々に至まで購入している姿が報道
されています。
また、建設機械等産業用機械設備の売れ行きも好調で、化学原料、製紙や
自動車用鋼板などの川上部門装置産業の大型投資も始まっています。
★「コスト要因」から、「市場要因」へ
少子化の進む日本市場の先細りの懸念から、多くの目が中国の巨大市場に
移ってきました。
日本国内の長期不況の中で、コスト削減に凌ぎを削った結果、中国での
低労働力、低原材料コスト、低インフラコストを活用するいわゆる「コスト
要因」から、今や誰もが「市場要因」の進出を口にし始めています。
今、かなりの日本の中小企業に色々な経路を通して、中国への投資、
企業進出の話が届き、経営者の頭を悩ませています。
★厳しい外資規制
中国市場に投資をし、市場に打って出るかどうかはそれぞれの企業の
経営判断ですが、多面的な経路から情報(長所、短所)を入手し検討
することは必要です。
現在、中国では外資の卸・小売業が厳しく規制され、基本的にはメーカー
による自社製品の販売しか認められておりません。
委託生産された製品は、委託側企業の製品であり受託側の中国企業しか
販売できません。
また、中国市場で目にするのは、ほとんどが大手メーカーの製品であって、
中小企業の製品は見当たりません。
もともと、中小企業の内販製品の多くは、大手進出企業向けの部品や原材料
であることが多いので、最終製品(完成品)として直接市場に出るものは、
少数でした。技術の移転を拒むなら、完成品として中国市場に売り込む手法を
検討しなければなりません。
★もの作りに専念することで精一杯
人材、情報力が十分でない中小企業は、製品販売のほか、広告宣伝、原材料
調達とその在庫管理、生産とその製品在庫管理、売掛金の回収など資金、もの作り
に専念することで精一杯であるという事実を忘れてはなりません。
このほか、為替のリスク以外にも法律上のリスクがあります。中国資本と
合弁会社を作る場合は、言葉の壁はともかく、契約書や定款は、まず、中国語と
日本語で作成されることになります。
いざ訴訟になったときは、どちらの国で裁判が行われるかという裁判籍の問題
があることをしっておかねばなりません。
★リスクの肩代わり
中小企業が海外展開をするには、一社で全てを行うことは実質無理です。リスク
の肩代わりをしてくれるエージェント(日本の商社はあまり取り扱わないようです)
の検討も考慮してください。
リスク負担の軽減を考慮すれば、中国は、有望な市場であることに間違いありま
せん。
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