【今回の経理のツボ】
今回の経理のツボは、前回に引き続き「与信管理」について考えてみたいと思います。
前回は、第三者からの情報収集方法なども考えてみました。
今度は、具体的な場面に合わせた情報収集について考えてみます。
☆ 営業担当者にもできる信用調査
経営が傾いてくると、さまざまな場面で兆候が出ます。
社長の不在が多くなったり、従業員の態度がずさんになったり・・・。
取引先と接する機会の多い営業担当者は、最も危険信号を察知しやすい立場にあります。
しかし、日常の取引の中で、ついついその危険信号も見逃してしまうことも・・・。
どのような点をチェックしたらよいのか、要点を理解して、
日頃の与信管理にお役立て下さい。
取引先の状況は、日々刻々と変化していきます。
一度きりの調査ではなく、定期的にチェックされることをお薦めします。
ここでご紹介するポイントは、新しい取引先の信用状態をチェックする時にも役立ちます。
☆ 信頼できる社長かどうかを見極める方法
【年齢・経験】
年齢が若い場合には、経験や管理能力が十分に備わっているかを確認します。
これらが十分でない場合には、
経営幹部等が経営者の能力不足を補うことのできる体制となっているかにも注目します。
高齢の場合には、健康面や判断力に支障はないかを確認します。
後継者が育成されているかどうかも重要なポイントです。
【経営者の環境】
公職や趣味等、本来の事業とは別の部分に力を入れすぎていないか、
夫婦仲等の家庭環境はどうか等、経営に従事できる状況になっているかを確認します。
【部下からの信頼】
従業員の経営者に対する態度に注目します。
経営幹部が経営者に信頼を置いているかも重要なチェックポイントです。
【経理感覚】
事業計画を立てる上では、経理への理解能力が備わっていることが不可欠です。
経理感覚を持ち、自社の現状把握や将来展望がきちっとなされているかを読み取ります。
【経歴】
過去に倒産の経験がある経営者の場合には、
債務が残っている可能性も考えられます。
また、同じパターンで倒産を招く危険もありますので、
過去の倒産の原因についても追究が必要です。
☆ 仕入、販売態度から危ない会社を見抜く方法
「得意先の仕入態度から現れる危険信号」
・仕入先が急に変わった
・注文が急に減った
・ライバルに注文していた分が急にこちらにくるようになった
・出荷を非常に急がせる
・注文が理由不明のまま急に増えた
・価格交渉に対し急に弱気になった(客が好条件をもちこむのはおかしい)
・どうみても能力以上の受注
・理由なき早期納入
「仕入先の販売態度から現れる危険信号」
・得意先が倒産した
・在庫が急増または急減した
・商品の売れ行きが急に悪くなった
・販売先からの大口の返品があった
・急に乱売を始めた
・全く無関係の商品を売りはじめた
・来店客数が急に減った
次回も、それぞれ具体的な場面での情報収集についてお話しします。
参考資料
「天明茂の管理会計実践塾」
「中小企業のための経営計画策定支援」
「MyKomon財務管理」
「TKC経営指標」
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